田尻 宏子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員第一種資格保有。証券会社、生命保険会社など複数の金融機関勤務後、2016年にライターとして活動開始。現在は「分かりにくいことを分かりやすくお伝えする」をモットーに、株式などの投資関連から、保険や家計管理まで幅広く金融関連記事を執筆中。
田尻 宏子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員第一種資格保有。証券会社、生命保険会社など複数の金融機関勤務後、2016年にライターとして活動開始。現在は「分かりにくいことを分かりやすくお伝えする」をモットーに、株式などの投資関連から、保険や家計管理まで幅広く金融関連記事を執筆中。

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ETF(上場投資信託)とは?投資信託や株式との違いをわかりやすく解説
日本国内には6,000以上もの公募投資信託が存在しています。株式を主体としたもの、債券中心のものなどさまざまな種類がありますが、そのほかにETFという株式のように市場に上場している投資信託があるのをご存じでしょうか。   今回はETF(上場投資信託)とは 何かをわかりやすく解説します。これから投資信託の購入を検討する方、ETFを知ってはいるけれど、メリット・デメリットまでは把握していなかったという方はぜひご覧ください。 ETF(上場投資信託)とはETFとはExchange Traded Fundsの略です。日本語では「上場投資信託」といわれています。投資信託の名のとおり、複数の銘柄を組み込んで作られた金融商品です。ETFの仕組み、そして投資信託や株式投資との違いを把握しておきましょう。 ETF(上場投資信託)の仕組み ETFは株価指数などに連動した値動きを目指した投資信託です。ETFが連動する指数には次のようなものがあります。 日経平均株価 東証株価指数 日経レバレッジ指数 国内債券 NASDAQ NYダウ その他、以下の株価に連動したものもあります。 日経高配当株 銀行株 新興国株 ETF(上場投資信託)と投資信託・株式投資との違い 次に、ETFと他の投資との違いについて解説していきます。ETF(上場投資信託)と投資信託の違いまずはETFと混同されやすい投資信託との違いです。違い1.取扱窓口の違い複数の銘柄を組み入れて作られている点ではETFは一般の投資信託と似ていますが、取扱窓口が異なります。ETFが証券会社のみであるのに対し、一般の投資信託は証券会社のほか、銀行や郵便局などでも取り扱っています。違い2.注文方法などの違いETFは東京証券取引所などの株式市場に上場しているため、売買時は株式のように証券会社を通じて注文を入れ、市場が開いている時間であればリアルタイムで取引を行うことができます。注文方法も株式同様「指値注文」「成行注文」が可能です。  「指値(さしね)注文」とは売買する価格を指定して出す注文のことで、「成行(なりゆき)注文」とは売買する価格を指定せず出す注文のことを指します。 一方、一般の投資信託は上場していません。注文を販売会社に出しますが、売買価額は注文日の翌営業日に発表される基準価額になります。投資信託の注文時点では売買価額が分からないという点を覚えておきましょう。違い3.窓口ごとの取扱銘柄の違いETFは上場しているため、どの証券会社であっても取扱銘柄はまったく同じです。しかし、一般の投資信託は各窓口で取扱銘柄や銘柄数が異なるという特徴があります。ETF(上場投資信託)と株式投資の違い次に、ETFと株式投資の違いについて見ていきましょう。違い1.商品特性の違いETF、株式ともに株式市場に上場しており、どの証券会社でも取扱銘柄や注文方法は同じです。しかし、ETFが専門家が選定した複数の銘柄を組み合わせた「パッケージ」のような金融商品であるのに対し、株式は自分で個別に投資先を選定しなければなりません。違い2.株主優待の有無日本国内の株式の場合、銘柄によっては株主優待が受け取れることがありますが、ETFにはそれがありません。なお、株式投資の場合、銘柄によっては「配当金」を受け取れる場合がありますが、ETFも同様に銘柄によっては「分配金」を受け取れるものがあります。違い3.運用にかかるコスト株式投資の場合、売買の際に「売買手数料」がかかりますが、ETFの場合はこれに加えて、運用中には「信託報酬」がかかります。ETFの信託報酬は銘柄によって異なり、安いもので0.1%未満、高くて1%程度です。  信託報酬は投資信託の運用時にもかかりますが、投資信託の場合は販売窓口の手数料も加味されるため、とくにネット証券以外で購入する場合、ETFよりもETFよりもトータル手数料がやや高くなる傾向があります。 ETF(上場投資信託)・投資信託・株式投資の違い一覧ETF、投資信託、株式投資の違いを一覧で確認しておきましょう。 ETF 投資信託 株式投資 上場 している していない している 販売窓口 証券会社 証券会社銀行郵便局 など 証券会社 売価 時価(価格を確認して注文が可能) 1日1回更新される基準価額(価格を確認して注文が不可能) 時価(価格を確認して注文が可能) コスト 売買手数料信託報酬 売買手数料信託報酬 売買手数料 個別銘柄の選択 不可(組入銘柄を選択不可) 不可(組入銘柄を選択不可) 可(投資銘柄を自分で選べる) ETF(上場投資信託)に投資するメリット 続いて、ETFに投資するメリットについて解説していきます。 1.どの証券会社でも購入可能投資信託の販売窓口によって取扱銘柄が異なることがあるため、「A銀行で販売している商品がB銀行にはない」ということも珍しくありませんが、ETFは上場しているため、ネット証券を含めどの証券会社でも取引ができます。2.リアルタイムでの取引が可能ETFは株式のようにリアルタイムでの取引が可能です。また、指値注文をすれば、指定した価格以上(以下)での売買を防ぐことができます。3.コストを抑えられる商品にもよりますが、投資信託と比較するとETFの方が売買手数料や信託報酬が低めに設定されるのが一般的です。コストを意識して投資をするのであれば、投資信託よりもETFの方がお得といえます。4.分散投資ができる投資のリスクを抑えるためには、1つの金融商品に集中して投資するよりも、いくつかの商品に分散して投資する「分散投資」が有効です。株式投資の場合、いくつもの銘柄に分散投資しようとすれば多くの資金が必要になるでしょう。しかし、ETFであれば、数十〜数百にもおよぶ銘柄が組み込まれるため、1銘柄の購入だけでも分散投資が可能です。  ETF(上場投資信託)のデメリットETFへの投資には次のデメリットもありますので、こちらも押さえておきましょう。 1.株主優待が受け取れない投資の楽しみの一つに「株主優待」があります。株主優待は日本独自の制度で、株式発行企業が販売する商品やサービスの優待券、ギフトの詰め合わせなどが受け取れるものです。株式投資であれば、企業によっては株主優待を受け取る権利を得られることがありますが、ETFには株主優待はありません。 2.少額・定額の積み立て投資ができない投資信託の場合、毎月定額を長期間積み立てる「積み立て投資」を行うことができます。証券会社にもよりますが、100円などの少額から始めることができるため人気のある投資方法です。ETFも投資信託ではありますが、「口(くち)」単位での購入となり、とくに国内ETFの場合は多くは10口単位での購入となります。 「100円から投資」というわけにはいかないほか、常に価格が変動するため毎月定額を積み立てることができません。そのため、毎月同じ額を少しずつ投資をしたいという方には不向きです。 3.信託報酬がかかる株式投資と比較すると、ETFは売買手数料のほかに信託報酬がかかる点はデメリットです。中には同じ株価指数に連動するETFも複数あるので、コストを少しでも抑えたい方は、それらの中でも信託報酬の低いものを探して購入するとよいでしょう。  ETF(上場投資信託)は投資初心者にもおすすめ ETF(上場投資信託)とは? について解説してきました。 ETFは株式と同様に市場で売買されているためリアルタイムで取引できるという大きなメリットがあります。指値注文もできるため、投資の醍醐味も味わえます。 また、ETFは複数の銘柄が組み込まれた投資信託ですので、1本でも分散投資ができ、初心者にも比較的始めやすい投資と言えます。さらに投資信託に比べて信託報酬が安いというメリットもあります。 これから投資を始めてみたいけれど株式のように銘柄を選ぶのは難しそう、という方はETF投資は有力な選択肢になるでしょう。
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2023/03/15
#ETF #用語解説
分散投資とは?メリットや知っておきたい具体的なやり方を詳しく解説
投資をする際は、1つの商品だけを選ぶのではなく、いくつかの商品に分けて投資する「分散投資」の方が、安定した資産形成のためによいとされています。しかし、分散投資のさまざまな効果や、分散投資の具体的な方法を知らないという投資家の方もいらっしゃるのではないでしょうか。 そこで今回は、分散投資の基礎知識やメリット・デメリット などについて詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。 分散投資とは?分散投資とは、投資先や投資のタイミングを1つに限定せず、いくつかに分散させることでリスクを軽減させることを目的とした投資手法 です。 金融の世界には「卵を一つのかごに盛るな」という格言があります。「卵を1つのかごに盛っておくと、落とした時に全てが割れてダメになる。だから、いくつかのかごに分けて盛るように」という意味で、分散投資の必要性を分かりやすく説いたものです。 つまり言い換えると、「投資先を1つの商品に集中させて資金を投じると、値下がりした際に資産全体の価値が下がってしまうリスクがある。だから、いくつかの投資先に分けて分散投資するように」といった説明になります。 なお、具体的な分散の方法は、「商品の分散」「時間の分散」「地域の分散」など、大きく3つの考え方があります。 次項 で詳しく見ていきましょう。 分散投資の種類ここでは分散投資の種類として、以下の3つの方法を解説します。 「商品の分散」 「時間の分散」 「地域の分散」 それぞれ詳しく確認していきましょう。 1.商品の分散投資する商品を1つに絞らず、特性の異なる商品を組み合わせて投資することを「商品の分散」と言います。 異なる値動きの商品に資産を分散させることで、一方が損失を出しても、一方で利益を確保できるような体制にしておくことでリスクの軽減を図る方法です。 商品の分散の具体例としては以下のような方法が例に挙げられます。 債券投資 に加えて、株式投資 も始める J-REIT に投資している場合、米国株を中心に運用される投資信託 も始める 国内不動産投資 だけではなく、海外不動産投資も始める 2.時間の分散一度にすべての資産を投資するのではなく、投資するタイミングを複数回に分けて行うことを「時間の分散」と言います。 時間分散の考え方は、投資信託の積立投資が代表例です。「価格が高いときは少ない量」を「価格が低いときは多い量」を購入することを長期間続けていくと、購入価格は平準化され、急な値下がりリスクにも強くなるというわけです。 3.地域の分散 投資先となる地域を複数に分散させることを「地域の分散」と言います。 世界中で投資商品が同じ値動きをすることはほとんどありません。そのため、国内株式と米国株式、国内債券と外国債券のように、地域を分散して投資するのは分散投資として効果的です。例えば、国内株式の1銘柄のみに投資していたケースを考えてみましょう。もし災害や景気悪化などで国内株式全体の株価が下落すると、たちまち損失のみを抱えることになります。 しかし、同時に外国の株式にも投資しておけば、国内株式の損失分を利益でカバーできる可能性が高まります。 分散投資のメリット分散投資にはメリットが多くあります。具体的なメリットを確認しておきましょう。 リスク軽減になるここまでで解説してきたように、リスク軽減が分散投資の目的であり、最大のメリットです。 すべての投資商品がまったく同じ値動きをすることはありません。つまり、複数の投資商品に分散投資すればするほど、資産全体が値下がりするリスクを抑えることができます。 投資をする以上、思わぬトラブルやリスクを完全になくすことは不可能です。そのため、分散投資のようなリスクコントロールを行った上で、少しでも安定した運用を目指しましょう。 頻繁な値動きに左右されにくい分散投資は基本的に「長期投資」とセットで考えられるので、頻繁な値動きに左右されないメリットがあります。 例えば、現物株式投資の場合、価格が低い時に買って、高い時に売れば利益が出ます。しかし、その投資方法では、常に変動する値動きを見ながら注文を入れるタイミングを見計らわなければいけません。 そこで、定期的に同じ銘柄を買い付けていく「時間分散投資」をすれば、投資のタイミングを考える必要はありません。日中忙しく株式市場をチェックする時間がない方や、売買中にずっと緊張を強いられるような取引を避けたい方にはメリットといえるでしょう。 分散投資のデメリット分散投資にはメリットだけでなく、デメリットもあるので詳しく見ていきましょう。 リターンが少なくなる分散投資の場合、1つの商品にかける金額が少なくなるため、少々の値上がりでは期待するリターンを得られにくくなくなります。また、リターンがある場合でも、1つの商品に集中投資した時より利益が少なくなるというデメリットがあります。 複数の投資商品を選ぶことが大変 複数の投資商品に投資をするのであれば、各商品の特徴を押さえる必要があります。証券会社や運営会社等のホームページで商品の特徴を確認し、自分の投資方針に合ったものを選ばなければなりません。 分散投資のポートフォリオを組むためには、ある程度の時間や手間がかかることを覚悟しておきましょう。 初心者におすすめの分散投資の方法は?分散投資をしたいけれど「商品を複数選ぶのが難しい」、「分散投資する資金がない」と悩んでいる方も多いでしょう。そういった初心者の方におすすめの商品や投資方法を紹介します。 商品を選ぶのが難しい:「投資信託」を運用する投資信託は、複数の銘柄が1つにパッケージされている投資商品です。銘柄選びから運用まで、すべてファンドマネージャーが担うため、投資初心者にもおすすめの投資商品です。「世界の成長株」や「再生エネルギー関連銘柄」など、テーマごとにセットされているので、あとは好みの商品を選んで投資するだけで完結する手軽な投資方法です。 分散投資できるほど資金がない:まずは「少額投資」から始める 分散投資するためには「まとまった資金が必要」なので、自分は分散投資ができないと考えている人もいるでしょう。しかし最近では、少額でも投資を始めやすい環境が整ってきており、投資資金が少ない人でも比較的分散投資を始めやすいといえます。 最低投資資金は購入する商品にもよりますが、株式投資であれば数万円~数十万円、債券であれば1万円、投資信託であれば数千円から購入できる商品があります。まずは小さなお金で投資に慣れたいと考える方にも、少額での分散投資はおすすめできる方法です。 分散投資でリスクを抑えながら資産運用しよう今回は、分散投資の基礎知識やメリット・デメリット を解説しました。 投資先を分ける、買い付ける回数を分けるなどの投資方法は分散投資と呼ばれます。値下がりリスクへの対応や買付価格の平準化ができるため、人気の投資方法です。分散投資は一括投資よりコストがかからない点も魅力といってもよいでしょう。 しかし、分散投資には注意点もあります。分散投資には、値下がりリスクに強いというメリットがありますが、一方で投資という性質上、絶対に損がないというわけではありません。そのため、リスクも把握した上で投資しましょう。
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2022/10/15
#リスクマネジメント #少額投資 #用語解説
指値(さしね)と成行(なりゆき)の違いは?特徴や注意点を詳しく解説
株式投資 の話題でよく見られる言葉に「指値(さしね)」「成行(なりゆき)」があります。これらの用語をきちんと把握しておかないと、いざ売買する際に困るかもしれません。 そこで今回は、指値と成行の違い や、メリット・デメリット、初心者におすすめの注文方法などについて詳しく解説します。また、注文方法のひとつに「逆指値(ぎゃくさしね)」もあるので、こちらも併せて解説します。 投資初心者の方だけでなく、今までなんとなく使っていたという方も、ぜひ参考にしてください。 指値(さしね)注文とはここでは、指値注文について解説します。基礎知識に加え、メリットとデメリットを確認しましょう。 指値注文の概要指値注文とは株式の売買注文をする際、株価を指定して注文することです。「買い注文」の場合は、株式市場で指定した株価以下(同値の場合不成立もあり)の価格になれば買いが成立し、「売り注文」の場合は、指定した株価以上(同値の場合不成立もあり)になれば「売り」が成立します。 例えば、A社の株を買いたい場合、「1,000円で100株買い」というように注文を入れます。注文後、A社の株価が1,000円以下(同値の場合不成立もあり)の値を付ければ100株の買いが成立するということです。 反対に、売りの場合は「1,500円で100株売り」と注文を入れると、株価が1,500円以上(同値の場合不成立もあり)になった際に100株の売りが成立します。なお、指値注文では株価を自由に設定できるわけではありません。各銘柄には「値幅制限」があるため、その範囲で指定します。 指値注文のメリット指値注文の大きなメリットは「指定した株価以上、もしくは以下で売買が成立しないこと」です。 例えば、値動きの激しい株式を売買したい時、株価を指定せずに注文を出すと、予想を超えた株価で注文が成立する場合があります。一方、指値注文をすれば、想定外の株価で取引が成立することはありません。 指値注文のデメリット予想以上の株価で注文が成立しないことがメリットの指値注文ですが、デメリットもあります。それは、「株価によっては売買が成立しない場合がある」という点です。 例えば、株式を買いたい場合、1,500円で注文を入れても、株価が一度も1,500円以下(同値の場合不成立もあり)を付けなければ注文は成立しません。売りたい場合も同様です。1,500円で注文を入れても、1,500円以上(同値の場合不成立もあり)を付けないのであれば注文は成立しません。 急いで売買を成立させたい時に指値注文をすると、注文成立しない可能性が高いため気を付けましょう。特に株価の下落局面ですぐにでも株を手放したいという場合、指値注文では注文が成立せず、損失が広がる恐れもあります。 成行(なりゆき)注文とは次に、成行注文について解説します。先ほどと同じく、基礎知識に加えメリットとデメリットも確認しましょう。 成行注文の概要株価を指定せずに注文を入れる方法が「成行(なりゆき)注文」です。注文時は「A社株を100株買い」のように指定します。 成行注文では株価の指定がないため、「買い注文」の際はそのとき最も低い価格の売り注文に対応して取引が成立します。同様に「売り注文」の際はそのとき最も高い価格の買い注文に対応します。 例えば、A社株を100株注文するケースで確認してみましょう。現時点のA社株の株価が1,000円、いちばん低い価格の売り注文が1,001円で1,000株、いちばん高い価格の買い注文が999円で1,000株出ていた場合、買い注文は1,001円で成立、売り注文は999円で成立するということです。 成行注文のメリット成行注文のメリットは「注文成立の確立が非常に高い」という点です。指値注文のように株価の指定がないため、その時の株価ですぐ売買ができます。 話題の銘柄をすぐにでも買い付けたい、株価が急落しているから急いで手放したいという場合は成行注文を利用するとよいでしょう。 成行注文のデメリット成行注文には「どの価格で売買が成立するか分からない」というデメリットがある点も覚えておきましょう。特に、値動きが激しい銘柄を取引する際は予想以上に低い、もしくは高い価格で売買することもあり、思わぬ損失を出す恐れもあります。 また、売買高が非常に少ない銘柄を取引する際も要注意です。本日500円程度で売買していた銘柄に成行で買い注文を入れた場合、翌日550円というかけ離れた株価で注文が成立する、ということも珍しくないためです。 予想外の株価で注文成立するのが怖いという方は指値注文を利用してください。 逆指値(ぎゃくさしね)注文とは 株の注文方法には「指値注文」「成行注文」以外に「逆指値(ぎゃくさしね)注文」というものもあります。こちらも押さえておきましょう。 逆指値注文の概要 逆指値注文とは「指定の株価以上になったら買い」「指定の株価以下になったら売り」の注文を出すという注文方法です。「指定した株価以下で買い」「指定した株価以上で売り」という指値注文の逆になりますので逆指値注文と呼ばれています。 例えば指値注文であれば、A社株が現時点で500円の場合、「499円で買い」のように注文を入れると、499円以下で買い注文が成立します。500円以上では買い付けられません。しかし、逆指値注文では「株価が500円以上になったら500円で買い」と注文するのです。そうすると、株価が500円以上にならないと注文が発動せず、買いが成立しません。反対に、499円以下に下がった場合には買付ができないということです。 なお、逆指値注文では成行注文もできます。成行の際は「株価が500円以上になったら成行で買い」のように注文します。 逆指値注文のメリット逆指値注文のメリットがあるのは以下のケースです。 ・利益確定をしたい保有する株式に含み益(※)があり、利益確定をしたい場合、逆指値注文が効果的です。 例えば、1,000円で買った株式が1,500円になった場合、1株あたり500円の含み益が発生していることになります。これからさらに上昇する可能性もありますが、ある程度のところで利益を確定したいと考える方もいるでしょう。 そこで、「1,400円以下になったら1,400円で売り」という逆指値注文を出すのです。これで万が一株価が下がっても、1株あたり400円の利益が確定できるということになります。逆指値注文をしておけば、随時株価をチェックし、タイミングを見て注文を出す必要もありません。 (※)含み益とは、買った時より株価が上昇し、売却すれば利益が出る状態のこと。反対に、買った時より株価が下落し、売却すれば損失が出る状態は「含み損」という ・損切をしたい株価が下落局面にある中、ある程度のところで損失を食い止めたいという場合も逆指値注文が有効です。1,000円で買った株式に対し「900円以下になったら900円で売り」という注文を出しておくと、900円で売り注文が発動するため、想定内の損失に抑えることができます。 逆指値注文のデメリット買い注文で逆指値注文をしたい場合は注意しましょう。値動きが激しい場合、高値で買ってしまうことがあるためです。 例えば、「1,000円以上になったら1,000円で買い」という注文を入れると、株価が1,000円になった時に注文が成立します。しかし、その後すぐに株価が急落すると、即、含み損を抱えることになるため注意が必要です。 指値注文・成行注文・逆指値注文の違い一覧指値注文、成行注文、逆指値注文について解説しましたが、ここでそれぞれの特徴を一覧で確認しておきましょう。 注文成立のしやすさ 予想外の価格での注文成立の確立 初心者へのおすすめ度 指値注文 指定した株価による なし ◎ 成行注文 非常に高い 非常に高い △ 逆指値注文 指定した株価による なし 〇 初心者はどの注文方法がおすすめ? 上記の「指値注文・成行注文・逆指値注文の違い一覧」でもご紹介しましたが、投資初心者であれば、指値注文から始めるのがおすすめ です。その理由は「予想より高い(低い)株価での注文成立がない」ためです。 成行注文の場合、その時の株価で売買が成立しますので予想外の株価になる場合があります。しかし、指値注文の場合は基本的に指定した株価での売買となりますので、予想より買値が高かった、もしくは売値が低かったということはありません。 特に、日中に株式市場をチェックする時間がない方、タイミングを見ながら注文を出すのが難しい方は指値注文を利用した方が無難といえるでしょう。 指値注文・成行注文・逆指値注文の【よくある疑問4つ】今回ご紹介した各注文方法について、よくある疑問とその回答をご紹介します。 1.指値注文で約定しやすくするコツは?指値注文を入れる際は各銘柄の「気配値」を確認してください。気配値とは、各銘柄にいくらでどれだけ注文が入っているかを表している表のことです。 ネット証券であれば、銘柄情報や注文画面等から確認することができます。気配に沿った注文を入れると約定しやすくなるでしょう。 2.指値注文で約定しなかった場合はどうなる?各証券会社によって注文の有効期限が決まっており、それが過ぎると自動的に注文失効になります。また、指値が値幅制限を超えてしまった場合も注文失効となります。失効した場合は改めて注文を入れなおしてください。 3.注文方法で手数料は変わる? 取引手数料は約定代金で決まります。そのため、注文方法によって手数料が変わるということはありません。 4.注文の取消・変更は可能?注文の取消・変更は可能です。ネット証券の場合はパソコン・スマートフォン上で取消・変更手続きができます。詳しくは各証券会社ホームページで確認してください。ただし、約定(注文成立)した場合は取消や変更ができないため、注文時は気をつけましょう。 指値と成行の違いを把握して投資を始めてみよう今回は、指値と成行の違い や具体的な使い方について詳しく解説しました。 株式の売買注文方法は大きく分けて「指値」と「成行」の2つがあります。これから投資を始めたい、または始めたばかりという方は、株価を指定して注文を出す「指値」からチャレンジしてみましょう。予想外の株価で注文が成立することがない点が安心です。慣れてきたら「逆指値注文」も取り入れるのもおすすめです。 また、ある程度の投資経験はある、日中に株式市場をチェックする時間があるという方は成行注文も検討しましょう。成行注文は注文成立しやすいというメリットがあります。そのため、1日のうちで頻繁に取引する場合にもおすすめの注文方法です。 指値注文、成行注文、逆指値などの注文方法を理解して投資を充実させましょう。
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2022/10/22
#用語解説
株式市場とは?市場の種類と区分についてわかりやすく解説
株式投資 について調べていると、「株式市場」「東京証券取引所」「プライム市場」などの言葉を多く目にするのではないでしょうか。これらを正しく理解していないと、どこの何に投資をしているのかよくわからないまま投資をすることにもなりかねず、好ましい状況とは言えません。 そこで今回は、株式市場とは何なのか、そして市場の種類や区分について 詳しく解説していきます。これから株式投資を始めたい方、始めたばかりの方はこの機会にしっかり把握しておきましょう。  株式市場とは? 「株式市場(かぶしきしじょう)」とは、簡単にいうと株式を売買する場所のことです。 多くの企業が株式を発行し、一般の人でも売買できるようにしていますが、実際に売買しようとした際に希望者がそれぞれの企業に連絡して取引するのは、事務処理などの面から考えると現実的ではありません。 また、そもそも株式を発行していることすら多くの人に認知されない可能性もあります。そこで、誰でも取引しやすいように株式市場に株式を「上場」させ、証券会社を通じて広く売買できるようにしているのです。 「上場」とは、企業が発行する株式等の有価証券を証券取引所で売買できるようにすること を指します。また、上場によって株式を一般の人にも譲渡できるようにすることを「株式公開」といい、株式が公開されている企業のことを「公開企業」または「上場企業」といいます。 株式市場の種類現在、日本には以下の株式市場(証券取引所)があります。   東京証券取引所 札幌証券取引所 名古屋証券取引所 福岡証券取引所 どのような企業でも株式市場に上場できるわけではなく、各市場ごとに株主数や流通株式数、利益額等の「上場基準」が定められており、審査を経て上場が決定します。そのため、株式市場で株式の売買ができる企業は、経営状態などに一定の信用がある企業 といえます。では、それぞれの株式市場の特徴を確認していきましょう。 東京証券取引所(東証)日本最大の株式市場が東京証券取引所(以下、東証)です。2023年2月現在、3,900社近くもの企業が東証に上場しています。日本を代表するような大企業、有名企業の株式を購入したいのであれば、まずは東証をチェックしてみましょう。 ちなみに、東証には「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」という区分があります。こちらについては後ほどご紹介します。 札幌証券取引所(札証)北海道の札幌にあるのが、札幌証券取引所(札証)です。2023年2月現在、上場企業は60社(単独上場企業:17社)あります。北海道の地場企業の株式を売買したい場合は、チェックしてみましょう。 名古屋証券取引所(名証)名古屋証券取引所(名証)には、2023年2月現在、275社が上場しています。「プレミア市場」「メイン市場」「ネクスト市場」の区分があり、東海地区以外の企業でも上場できるのが特徴です。上場審査で流通株式時価総額が問われないため、これから成長が期待できる企業も多く上場しています。福岡証券取引所(福証)福岡にある福岡証券取引所(福証)には、2023年2月現在、107社が上場しています。(単独上場企業24社)福岡県内の企業だけでなく、九州の地場企業も多く上場しているため、地元密着の企業を応援したいという方は確認してみましょう。   現在の東京証券取引所における3つの上場区分かつての東京証券取引所は、「東証一部」「東証二部」「JASDAQ」「マザーズ」の4つの区分がありましたが、2022年4月4日より新しい区分がスタートしています。 現在の東京証券取引所の上場区分は「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つです。それぞれの新規上場基準を一覧で見てみましょう。 プライム市場 スタンダード市場 グロース市場 株主数 800人以上 400人以上 150人以上 流通株式数 2万単位以上 2,000単位以上 1,000単位以上 流通株式時価総額 100億円以上 10億円以上 5億円以上 収益基盤 ・最近2年間の利益合計が25億円以上・売上高100億円以上かつ時価総額1,000億円以上 最近1年間の利益が1億円以上 - 1.プライム市場プライム市場には、「安定的かつ優れた収益基盤・財政状態を有する」企業が上場しています。新規上場時の収益基盤についても「最近2年間の利益合計が25億円以上」などと定められており、かなり規模の大きな企業でないと上場できません。 また、プライム市場の銘柄には多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持つことが求められています。この点から、年金基金や保険会社のように安定的に資金を運用したい投資家のための市場でもあることもわかります。 2.スタンダード市場プライム市場よりも株主数、流通株式数などが少なくはなりますが、一定の時価総額があり、基本的なガバナンス水準を備えていると認められている企業が上場できるのがスタンダード市場です。上場審査では持続的な成長性があるか、収益基盤が安定しているかも確認されます。 グロース市場現時点では規模がそれほどではないものの、今後、高い成長が期待できる企業が上場するのがグロース市場です。上場審査でも事業計画の合理性や成長の可能性を確認されます。 プライム市場やスタンダード市場上場の企業よりも規模の小さいスタートアップ企業などが上場することが多く、株価の動きも激しくなりやすいため投資リスクも高くなります。しかし、売上や利益が大幅に伸びる可能性もある企業に投資したいと考えるならば、この市場をチェックしてみましょう。 世界の主要株式市場 株式市場は日本だけなく世界中にあります。なお、日本の証券会社を通じて海外株の売買もできますが、証券会社によって取扱国や銘柄が異なるため、各社ホームページ等で事前によく確認しましょう。 海外株取引には単なる値下がりリスク以外にも、国の政治経済によって株式市場や株価が混乱するカントリ―リスクや、為替の変動によって外貨建て資産の価値が変動する為替リスクもあるため、まずは国内株の取引に慣れてからチャレンジするのがおすすめです。ここでは、米国と中国の株式市場についてご紹介します。 米国の株式市場「ニューヨーク証券取引所(NYSE)」と「NASDAQ(ナスダック)」という2つの証券取引所が有名です。この2つだけで、世界中の株式の時価総額の40%超を占めるほど巨大な市場となっています。上場している企業も、「アップル」(NASDAQ)や「ウォルトディズニー」(NYSE)など、世界的に有名な企業が多いのも特徴です。中国の株式市場中国本土に「上海証券取引所」「深セン証券取引所」、香港に「香港証券取引所」があります。そして、中国本土の場合、国内の投資家のみが取引できるA株と海外の投資家が取引できるB株とに分かれているという特徴もあります。  株式市場の基礎知識株式投資を始める前に、取引時間や休みの日など、株式市場の基礎知識について確認しておきましょう。 株式市場の取引時間は?東京証券取引所の取引は月曜日から金曜日までの平日に行われており、取引時間は以下のようになっています。   前場(ぜんば) 午前9:00~午前11:30 後場(ごば) 午後12:30~午後15:00 午前11:30~午後12:30は市場が休憩となるため、取引は行われません。リアルタイムで株式の売買をしたい場合は前場・後場の時間内に注文を入れる必要があります。 株式市場の休場日(休み)はいつ?日本の株式市場は土曜・日曜・祝日、および年末年始の12月31日~1月3日は休みのため取引は行われません。 株式市場の銘柄コードとは?日本の各株式市場に上場する株式には、似た名称の企業と間違わないように「銘柄コード」という4ケタの番号が付与されています。会社四季報や各証券会社のホームページ等では企業名だけでなく、銘柄コードからも検索できるようになっていることがほとんどです。 また、1300番台は「水産・農業」、4000番台は「化学・薬品」、8000番台は「金融・商業」のように、原則として業種ごとに割り振られているという特徴もあります。※番号が足りなくなっている状況もあり、新規上場株は業種を問わず2000番~4000番台が付与されるケースもあります。 株式市場はたくさんある!まずは東証上場株をチェックしてみよう 今回は、株式市場とは? を詳しく解説しました。 株式市場は日本だけでも、東京証券取引所(東証)をはじめ4つもあります。もし、これから株式投資をスタートしたいのであれば、まずは東証上場の株式からチェックしてみるのがおすすめです。 東証は上場企業数の多さはもちろんのこと、流通株式数、売買高などが他の市場に比べると段違いに多くなっています。誰もが耳にしたことのあるような有名企業の株や成長が期待できる企業が多く、取引成立の可能性(流動性)も高いので始めやすいでしょう。
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2023/03/14
#投資の始め方 #用語解説
株式が上場廃止されたらどうなる?上場廃止となった株式の取扱いや過去の事例を紹介
株式投資 をしていると、時々「上場廃止」のニュースを聞くことがあります。保有株式が上場廃止されるのはどのような場合なのでしょうか。また、投資家が行うべき手続きはあるのかも知っておきたいところです。 今回は、上場廃止されたらどうなるのか をテーマに、上場廃止とは何かという基礎知識から、保有株が上場廃止されると発表された場合に売買はどうなるのかについても解説します。株式投資をする方、これから投資を始めたいと考えている方はぜひ参考にしてください。 上場廃止とは株式の上場廃止とは、東京証券取引所などの証券取引所で売買ができなくなること です。ちなみに、2022年には77社が上場廃止していますので、それほど珍しい話ではありません。 また、上場廃止と聞くと「倒産」などのネガティブなイメージを持たれるかもしれませんが、そうとも限りません。上場廃止される理由については後ほど詳しく解説します。 上場廃止したら持ってる株はどうなる?上場廃止した場合、持っている株式は証券取引所で売却できなくなります。また、株主としての権利は残りますが(※)、証券会社での取り扱いもできなくなります。上場廃止となった株式は証券会社の預かり残高から抹消され、株式を発行している会社、もしくは株式を管理する信託銀行の預かりとなるためです。 (※倒産や100%減資の場合は、株主の権利が喪失します) 証券会社の預かり残高から抹消された後に売却したい場合は、発行会社か信託銀行に問い合わせる必要があるため、証券取引所で行われる通常の株取引よりも時間や手間がかかります。この点には注意が必要です。 上場廃止発表後は「整理銘柄」に指定される上場廃止発表後、すぐに上場廃止となって売却できなくなるわけではありません。上場廃止が発表されたら、原則としてその後1カ月間は「整理銘柄」に指定されます。その間であれば市場で売却は可能です。 しかし、上場廃止を控えていることで、希望価格よりもかなり低い株価でしか値段が付かないことも予想されます。場合によっては売買が成立しないこともあります。 なお、上場廃止する株式がすべて整理銘柄に指定されるわけではありません 。「完全子会社化」が理由で上場廃止する場合は、新たな上場会社の株式に交換されるため、整理銘柄に指定されず、即上場廃止されることもあります。 交換された新たな上場企業の株式は今までと同様に市場での売買が可能です。 上場廃止株が再上場する可能性は?上場廃止株はその後、絶対に再上場できないわけではありません。例えば、上場廃止の理由が、経営再建や改革のため会社が株主から株式を買い付け、一旦非公開とする「MBO(マネジメントバイアウト)」の場合、経営再建・改革後、再上場することもあります。 しかし、MBO後の再上場は新規上場時よりも審査が厳しくなるのが一般的です。具体的には「MBOからの経過期間」「MBO時と再上場申請時の経営陣が同一か」などの点がチェックされます。再上場は可能ですが、難しいという点は認識しておいてください。 上場廃止となる2つの原因上場廃止には主に以下の2つの原因があります。 上場基準を満たしていない 企業自らが上場廃止を選ぶ これらについて詳しく見ていきましょう。 1.上場基準を満たしていない各市場の上場基準を満たしていない場合、上場廃止となります。東京証券取引所の主な上場維持基準を確認してみましょう。 プライム市場 スタンダード市場 グロース市場  株主数  800人以上  400人以上  150人以上  流通株式   流通株式数 2万単位以上  流通株式時価総額 100億円以上   流通株式比率 35%以上  流通株式数2,000単位以上  流通株式時価総額10億円以上   流通株式比率25%以上  流通株式数1,000単位以上  流通株式時価総額5億円以上   流通株式比率25%以上  売買代金  1日平均売買代金が2,000万円以上   月平均売買高が10単位以上  月平均売買高が10単位以上  純資産   純資産の額が正であること  純資産の額が正であること  純資産の額が正であること  時価総額  250億円以上   ー  ー 上記の上場維持基準を満たせなくなった場合、1年以内に規準に適合しないと上場廃止となります(売買高の場合は6カ月)。そして、満たせなくなった場合は、その状態になった時から起算して3カ月以内に原則として1年(売買高の場合は6 カ月)内に上場維持基準に再び達するための取組と実施時期を記載した計画書を提出しなければなりません。 また、上場維持基準を満たせなくなった場合以外にも以下のような理由で上場廃止となることがあります。 有価証券報告書等の提出遅延法定提出期限の経過後1ヵ月以内に提出しない場合は提出遅延とみなされ上場廃止となります。 なお、提出期限延長の承認を得た場合は、承認を得た期間の経過後8日目(休業日は除外)までに提出しないとき、上場廃止となります。 有価証券報告書の虚偽記載有価証券報告書に虚偽記載があり、直ちに上場廃止しなければ市場の秩序を守れないと判断された場合は上場廃止となります。 経営状態の悪化など銀行取引の停止、破産・再生・更生手続き、事業活動の停止など、経営状態が健全でなくなった場合、上場廃止となります。 2.企業自らが上場廃止を選ぶ上場維持基準を維持している企業であっても、企業戦略の一環として上場廃止を選択する場合があります。具体的には以下のようなケースです。 経営方針転換を行いたい時大きな経営方針転換を行いたくても、多くの株主の反対で進められないことがあります。このようなケースでは、上場廃止して経営陣に権限を持たせるという手法を取る場合があります。 コスト削減のため上場を維持したい場合、毎期、有価証券報告書の作成と提出を行う必要があります。また、上場後は上場株式の時価総額によって、毎年96万円~456万円の上場料(※プライム市場の場合)を支払わなければなりません。 これらのコストを削減するために上場廃止を選択する場合もあります。 過去に上場廃止になった事例過去に上場廃止になった企業の例を見てみましょう。  企業名  上場廃止理由  アデランス  TOB(株式公開買い付け)による完全子会社化のため  アコーディア  経営環境の悪化と立て直しのため  日立物流  株式の併合のため  グレイステクノロジー   四半期報告書提出遅延のため  ワタベウエディング  株式の併合・破産手続、再生手続又は更生手続に準ずる状態(債務免除)のため  経営悪化を原因とするものだけでなく、完全子会社化や株式併合が理由で上場廃止する場合も多くあります。決してネガティブな理由だけで上場廃止するわけではないということを理解しておきましょう。 上場廃止が発表されたら今後の動向を見極めよう 今回は、上場廃止されたらどうなるのか をテーマに、上場廃止の基礎知識や上場廃止の原因などについて詳しくご紹介しました。 株式の上場廃止が発表されると、1カ月間程度は整理銘柄として売買できますが、その後、市場での売買ができなくなります。もし、売却を希望する場合は、株式の発行会社や信託銀行に問い合わせが必要です。市場での取引のように、価格をリアルタイムで確認しながらの売買ができなくなるため注意してください。 なお、上場廃止する理由は経営悪化だけではありません。経営基盤強化のための「完全子会社化」などが理由の場合もあります。完全子会社化で上場廃止のケースでは、新たな会社の株式に交換されるため整理銘柄に入らず、即上場廃止されることもあります。 保有株式の上場廃止のニュースが出た時は、まずは何が理由なのかを確認しましょう。 そして、不必要に慌てることがないよう、日頃から企業情報や株価等をチェックする習慣を身に付けておきましょう。
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2023/05/18
#用語解説
インデックスファンドとは?基礎知識やメリット・デメリットを初心者向けに解説
将来のための資産形成として投資信託に興味を持っているという方もいるでしょう。投資信託 を始めるなら「インデックスファンド」は投資初心者にも仕組みが分かりやすいためおすすめです。 そこで今回は、インデックスファンドとは どのような投資なのか、メリットやデメリットにはどんなものがあるかなどについて詳しく見ていきましょう。 インデックスファンドとは インデックスファンドは投資信託の種類のひとつです。特定の市場指数と連動するように構成される投資信託で、比較的低コストで値動きの変動も大きくないため、初心者向けの投資商品の代表格です。 なおインデックスファンドの主な指数は以下のようなものがあります。 日経平均株価 東証株価指数(TOPIX) ダウ工業株30種平均株価 S&P500種 上記のような株価指数のほかにも、債券 、REIT (リート/不動産投資信託) 、コモディティなどの指数もインデックスファンドにあります。 アクティブファンドとの違いは? 投資信託にはインデックスファンドのほかに、アクティブファンド があります。市場指数に連動されるよう運用されるインデックスファンドとは反対に、アクティブファンドはベンチマークを上回るリターンを目指す投資信託です。 インデックスファンド アクティブファンド  運用方針  指数に連動した値動きを目指す   指数を上回る運用成果を得る  組み入れている銘柄   指数組入れ銘柄  独自のテーマに基づき銘柄を厳選   コスト  比較的低い  比較的高い  リスク  市場平均並み  市場平均よりリスクは高い インデックスファンドのメリット インデックスファンドに投資するメリットには次のようなものがあります。 値動きが分かりやすい 積み立て投資に向いている 運用コストが比較的低い ひとつずつ詳しく見ていきましょう。 値動きが分かりやすい 先述したとおり、インデックスファンドは日経平均株価やTOPIXといった指数と連動した値動きを目指します。 これらの指数は特に株価チェックをしていなくてもテレビや新聞、インターネットなどでよく目にすることも多いでしょう。そのため、逐一値動きをチェックしなくても、ある程度の動向は把握することができます。忙しくて投資に割く時間があまりないという方には、インデックスファンドがおすすめです。 積み立て投資に向いている 積み立て投資とは、同じ商品を毎月・毎週・毎日などのタイミングで一定金額ずつ購入していく投資方法です。基準価額が高いときは少なく、低いときは多く購入できるよう調整する「ドル・コスト平均法」を長期間を行えば、平均購入金額を抑えて有利な投資が実現します。インデックスファンドは手数料などのコストが安い点から考えても、この投資方法に向いているといえるでしょう。 近年、つみたてNISA やiDeCo のように節税しながら積み立て投資ができる制度に注目が集まっていますが、これらの制度を利用すればさらに効率良く資産運用ができます。 運用コストが比較的低い 投資信託には、購入時手数料、信託報酬、売買委託手数料、信託財産留保額などのコストがかかりますが、なかでも大きいのが「信託報酬」です。信託報酬はファンドによって異なりますが、純資産に対して年0.5〜2.0%ほどかかるのが一般的です。 指数を上回る運用を目指すアクティブファンドでは、運用の専門家であるファンドマネージャーが市場調査・分析・銘柄選定などを行うため、そのコストである信託報酬は高額になります。一方、指数に連動することを目指すインデックスファンドは、アクティブファンドと比較すると手間や人件費が少なくて済むためコストが抑えられます。 インデックスファンドのデメリット 投資を始める前に、以下のインデックスファンドのデメリットについても確認しておきましょう。 ある程度のコストはかかる 短期間に大きな利益が狙えない 値下がりするリスクもある ある程度の投資コストはかかる 前項でも述べたとおり、アクティブファンドと比べるとインデックスファンドのコストは抑えられますが、まったくコストがかからないというわけではありません。また、インデックスファンドは長期的な運用に適した商品ですが、長く保有すればするほど、その分のコストを支払い続けることになるので、インデックスファンドを始める前にはコストも含めた運用計画を行いましょう。 短期間で大きな利益が狙えない 株価指数などのベンチマークに連動するインデックスファンドは、短期的に大きな値動きをしないのが特徴です。そのため安定的な運用が望めますが、裏を返せば、短期間に大きな利益を得ることは難しいということです。 大きな値動きの中で積極的に利益を取っていきたい方には不向きな投資方法です。 値下がりするリスクもある インデックスファンドはアクティブファンドほど大きな値動きがないとはいえ、値下がりリスクがゼロというわけではありません。何らかの原因で市場全体が値下がりして指数が下落すれば、基準価額が下がって損失を抱える場合もあります。投資である以上、値下がりリスクがあることを念頭に置いたうえで、インデックスファンドを運用しましょう。 初心者が投資信託を始めるならインデックスファンドがおすすめ 今回は、インデックスファンドとは 何かという解説や、メリット・デメリットなどを詳しく紹介してきました。 インデックスファンドは日経平均株価などの指数に連動して値動きすることを目指した投資信託です。調査して組入銘柄を決定し、積極的に運用するアクティブファンドよりも値動きは緩やかですが、値動きがわかりやすいというメリットがあるため、投資初心者でもチャレンジしやすいという特徴があります。 また、投資コストが低いため、毎月定額を投資する積み立て投資にもおすすめです。短期間で利益を得ることは難しいのですが、長期間投資を続けることで将来の資産形成の一助となるでしょう。。 これから投資信託の運用を始めるなら、まずはインデックスファンドからスタートしてみてはいかがでしょうか。
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2023/03/29
#少額投資 #用語解説
投資信託のメリットとデメリットは?初心者のための基礎知識も解説
投資を始めたいけど「何に投資すればいいかわからない」「自分で株の銘柄を探すのが難しそう」という意見を聞くことがあります。そのような方におすすめなのが投資信託 という投資商品です。 本記事では、投資信託のメリット・デメリット から、おすすめの運用方法まで投資初心者の方に向けて詳しく解説します。 投資信託とは 投資信託とは「複数の投資家から集めた資金をひとまとめにして、複数の投資対象を購入した上で運用を行い、そこから得られる運用益を投資家の出資金額に応じて分配する」という投資商品です。 投資対象は国内外の株式 ・債券 ・不動産他 で、運用する商品は運用方針に応じて専門家(ファンドマネージャー)が選ぶため、投資家自らが銘柄を選定する必要はありません。 当然ながら、投資信託には「元本保証」がありません(基本的に元本が保証された投資商品は存在しません)。運用成績が良ければ、それだけ利益が大きくなりますが、運用成績が悪くなると分配金が減ったり、投資した金額を割り込む元本割れリスクも存在します。 投資信託は運用方針によってもリスクの大きさが変わります。ご自身のリスク許容度を考えた上で、投資信託のファンド選びを行いましょう 続いて、投資信託のメリットとデメリットを解説します。 投資信託のメリット4つ 投資信託のメリットとしては以下の4つが挙げられます。 少額の資金で投資できる 自分で銘柄を探す必要がない 分散投資ができる 透明性が高い それでは、以下で詳しく見ていきましょう。 メリット1.少額の資金で投資できる 投資信託は、少額から始められる投資 です。各金融機関によって最低投資金額が設定されており、なかには100円から投資できる金融機関もあります。 株式投資の場合は、通常100株単位での購入となります。例えば、1株500円の株式の場合、少なくとも「5万円+売買手数料」が必要になります。 投資信託の場合は、100円〜数万円と好きな金額で投資が始められるので、「まずは少額から投資を始めてみたい」「毎月無理のない金額で資産をコツコツ積み上げたい」という方に最適です。 メリット2.自分で銘柄を探す必要がない 投資信託は、自ら投資する銘柄を決める必要がないので、投資に不慣れでも始めやすいというメリットがあります。 例えば、株式投資の場合には自分で投資する銘柄を探す必要があります。業績や需給バランス、今後の展望などを調べた上で銘柄選定を行うのは初心者や時間がない方には難しいことです。 一方、投資信託の場合は投資先を決めるのは運用の専門家です。タイミングを見ての売買も全てお任せできます。投資家は「値動きが激しくなる可能性があるか」「どのような銘柄で運用するか」などの運用方針を見て投資先を決めるだけで構いません。 メリット3.分散投資ができる 投資リスクを軽減するためには分散投資 が最適です。しかし、分散投資がいいとわかっていても、複数の銘柄を購入するには、当然ながら購入するだけの資金が必要なので「分散投資したくてもできない」人は一定数いるでしょう。 しかし、投資信託は複数の銘柄をパッケージして販売している金融商品です。1銘柄購入するだけで分散投資になります。よって手持ちの資金が少ないという人にも投資信託はおすすめです。 メリット4.透明性が高い 投資信託は基準価額(1万口あたりの投資信託の値段が一般的)が毎日公開されており、値動きや資産価値を投資家本人が日々チェックすることができる透明性の高い投資商品です。 また、決算期ごとに運用成績が記載された「運用報告書」が作成され、各投資家に送付されます。運用報告書では組入銘柄も確認することも可能です。 投資信託のデメリット4つ 投資信託のデメリットも確認しておきましょう。以下の4つのデメリットをご紹介します。 元本割れの可能性がある 手数料が必要 価格を確認しながら売買できない 金融機関によって取扱商品が異なる デメリット1.元本割れの可能性がある 市場は日々さまざまな要因によって価格変動し、ときには大きく値下がりします。投資信託の基準価額も市場の動向に大きな影響を受けます。 ファンドの運用成績によっては分配金を受け取れないどころか、元本割れ(投資した金額を割り込む)リスクもあるので、投資信託を行う際は分散投資などのリスク対策もしっかり行いましょう。 デメリット2.コストがかかる 投資信託の売買をする際はコスト(手数料)がかかります。以下が投資信託にかかるコストの例です。 購入時手数料(購入時) 信託報酬(保有時) 信託財産留保額(換金時) 売買の際にかかる手数料のほかにも、保有時に運用や管理の手数料として信託報酬が必要になるのがポイントです。信託報酬は資産総額に対して信託報酬率を乗算して算出します。 なお、これらの手数料はファンドごとに異なります。似たような運用方針の投資信託でも異なる場合がありますので、購入を検討する際はよく見比べるようにしてください。 デメリット3.価格を確認しながら売買できない 株式投資の場合、市場が開いている間はリアルタイムで株価を確認しながら売買注文を出すことができます。株価を指定する指値 で注文した場合は、希望する価格から大きく外れた注文成立はありません。 しかし、投資信託の場合、基準価額は1日1回しか発表されません。しかも「ブラインド方式」という基準価額が分からない状態で注文を出す必要があります。 その日の株価の動きによっては、予想外の価格で注文が成立する可能性もあるところは注意点といえるでしょう。 ※上場投資信託(ETF) は取引時間内にリアルタイムで相場の動きを見ながら売買が可能です デメリット4.金融機関によって取扱商品が異なる 市場に上場している株式はどの証券会社でも同じものが購入できます。また、証券会社が違っても株価が変わることはありません。反対に、投資信託は金融機関ごとに取扱商品が異なります。 金融機関によって取扱数も異なるため注意が必要です。購入する金融機関を探す場合は、商品ラインナップまで確認する必要があります。 投資信託は「長期・積立・分散」に適した投資方法 投資というと、毎日価格をチェックし、値上がりが確認できたらすぐに売却し、利益を確定するものと考えている方もいるでしょう。確かにそのようなスタイルが適した投資方法もあります。 しかし、投資信託は「長期保有」が有利な投資方法だといわれています。少額から自己に合わせた資金設定で始められることもあり、毎月の積立にも最適です。そして複数の銘柄が組み込まれている投資信託を購入するだけで分散投資も実現できます。 つまり投資信託は「長期・積立・分散」に適した投資です。すぐに利益を得られるものではなく、コツコツと資産を積み上げていくものだと認識しておきましょう。 このような投資方法のメリットは複利効果 が非常に大きいという点です。複利とは、利息を元本に組み入れて、その合計を次の利息計算時に元本とすることです。 複利運用を行うと、単利(利息が元本にのみ基づいて計算される)よりも、効率よく資産を形成することができます。 NISAを利用すればより効率的に資産運用できる そして、投資信託への投資には非課税投資制度のNISA制度 が利用できます。積み立て投資枠であれば、年間120万円までは非課税(※)で投資可能です。このような制度も利用し、複利効果も活かしながら効率的な資産運用がおすすめです。 ※2024年から適用になる「新しいNISA」の制度の場合。2023年までは年間の非課税枠が40万円の「つみたてNISA」となる。 投資初心者は投資信託で積立投資をしよう 今回は、投資信託のメリット・デメリット やおすすめの運用方法などを解説しました。 投資信託は始めから複数の銘柄がパッケージされて販売されている金融商品です。一から銘柄探しをする必要がないため、投資に不慣れな人や初心者でも始めやすいというメリットがあります。しかも、銘柄の売買や入れ替えについては全て運用の専門家にお任せできます。自分で売買のタイミングを考える時間も不要です。 また、 金融機関によっては100円程度から始めることができます。毎月少しずつ、長期間積み立てしていくのも おすすめです。ただし、投資信託は頻繁に売買し利益を得ていくものではありません。ある程度長期間使う予定のない資金を投資に回すようにしましょう。
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2023/04/21
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