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キャピタルゲインとインカムゲインの違いは?初心者はどちらを狙うべきか

最終更新日 2023/03/13

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投資で得られる利益は、キャピタルゲインとインカムゲインに大別されます。利益が発生する要因やメリット・デメリットはそれぞれ異なるため、違いを理解して安定した資産運用を目指しましょう。


本記事では、キャピタルゲインとインカムゲインの違い について、金融商品別に詳しく紹介します。どちらを狙うべきか迷っている初心者の方も、ぜひ参考にしてください。


キャピタルゲインとは?

キャピタルゲイン

キャピタルゲインは、金融資産の売却によって得られる利益です。主に次のような金融資産の取引で発生します。

など


例えば、100万円で購入した株を130万円で売却したときのキャピタルゲインは30万円になります。

インカムゲインとは?

インカムゲイン

インカムゲインとは、資産の保有で得られる継続的な利益です。


  • 株式の配当金
  • 銀行預金の金利
  • 投資信託の分配金
  • 不動産の賃貸収入


など


売却益とは異なり、売買をしなくても保有しているだけで得られるのがインカムゲインの特徴です。


投資商品ごとのキャピタルゲインとインカムゲイン

投資商品別のキャピタルゲインとインカムゲインの違いは、下表のとおりです。


キャピタルゲイン
インカムゲイン
株式投資 株式の売却益、空売りによる売買差益 配当金
投資信託 投資信託の売却益 分配金
銀行預金 なし 利息
不動産 不動産の売却益 家賃収入
仮想通貨 仮想通貨の売却益、空売りによる売買差益 ステーキング
FX 価格変動による差益、空売りによる売買差益 スワップポイント


各投資商品のキャピタルゲイン・インカムゲインと税金を詳しく見ていきましょう。


株式投資

株式投資のキャピタルゲインは株式の売却益、インカムゲインは配当金になります。配当金は「権利確定日」に株式を保有していれば受け取れるため、短期投資でもキャピタルゲインとインカムゲインの両方を狙うことが可能です。なお、株式投資の売買益と配当金には20.315%の税金(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)がかかります。


投資信託

投資信託は、投資家から集めた資金を専門機関が投資・運用する商品です。投資の対象は国内外の株式や公社債、不動産など多岐にわたります。投資先によってはリスクが高くなるので、購入する前に各投資信託の組み入れ比率と運用実績を確認しておきましょう。


投資信託は、売却益によるキャピタルゲインと分配金によるインカムゲインが得られます。キャピタルゲインは、購入後に基準価額が上昇し、そのタイミングで売却することで得ることができます。インカムゲインは、分配型の投資信託を購入した場合に保有口数に応じて分配されます。なお、分配金が得られるタイミングはファンドによって異なり、運用の悪化で分配金が支払われないケースもあります。


投資信託の分配金と売却益には20.315%の税金が発生しますが、元本を切り崩して支払われる特別分配金には税金がかかりません。


預金

預金のインカムゲインは利息です。預金は元本が変わらないので、価格変動などによるキャピタルゲインは発生しません。ただし、外貨預金の場合は為替の変動によって差益が生じることもあります。外貨預金(米ドル)に100万円を預けた場合の例を見てみましょう。


例:

1ドル=100円のときに預け入れ:100万円÷100円=10,000ドル

1ドル=110円のときに払い戻し:10,000ドル×110円=110万円

(※手数料は考慮せず)


上記例の場合は、10万円のキャピタルゲインが発生します。このように外貨預金の場合は、利息によるインカムゲインのほかにも、為替差益によるキャピタルゲインも得られる可能性があります。


なお、日本円・外貨を問わず、個人の預金の利息には20.315%の税金がかかります。(法人の場合には15.315%)また、為替差益は雑所得となるため総合課税の対象となります。


不動産投資

不動産投資は、土地・マンション・戸建住宅・商業ビルなどの不動産を購入し、それを第三者に貸し出すことでインカムゲイン(賃料収入)を得られます。また、所有する不動産を売却することでキャピタルゲインも狙うことができます。


キャピタルゲインは購入時よりも不動産価格が上昇していれば大きな利益を得られますが、購入時より価格が下がっていれば逆にキャピタルロスとなります。いずれにしても、不動産のキャピタルゲイン狙いはハイリスク・ハイリターンであると覚えておきましょう。


一方、賃貸収入狙いであれば、長期的なインカムゲインも得られます。ローンの利息や固定資産税などは経費になり、不動産所得の赤字は給与所得と損益通算できるため、節税対策にもつながるでしょう。


なお、不動産の売却益には、物件の保有期間に応じて下記の税金が発生します。


所有期間が5年以下:39%

所有期間が5年超: 20%

(※2037年までは別途2.1%の復興特別所得税)


家賃収入は不動産所得となるため総合課税の対象となります。


仮想通貨

仮想通貨のキャピタルゲインは売買益です。仮想通貨の値動きは荒いので大きな利益も狙えますが、損失も大きくなる傾向にあるので、初心者はさけたほうがいいでしょう。

仮想通貨を保有しているだけで発生するインカムゲインには、主に次の2種類があります。


・ステーキング

仮想通貨を保有しておくだけで発生する利益が「ステーキング」です。仮想通貨は国家や法律による裏付けがありません。需給が成立して初めて価値が生まれます。そのため、通貨を保有しているだけでも価値の維持貢献になり、その代わりとして収益を得られるのです。ただし、ステーキングサービスを提供している取引所は限られます。


・イールドファーミング

仮想通貨取引所には、中央集権的な管理者が存在しない分散型タイプがあります。分散型の取引所は自社で仮想通貨を保有していないため、一定量の仮想通貨をプールしておかなければいけません。このプール用の仮想通貨を提供するのが「イールドファーミング」です。仮想通貨を預けることによって流動性の確保に貢献できるため、その対価として報酬を得られます。なお、仮想通貨の利益は雑所得となり 総合課税の対象となります。


FX

FXのキャピタルゲインは、為替変動による売買益です。レバレッジ取引なら、少ない資金で大きな利益を狙えます。ただし、リスクも大きいので初心者には向いていません。


FXのインカムゲインは、通貨を保有しているだけで得られる「スワップポイント」です。考え方としては、外貨預金の利息と同様です。なお、FX取引で得た利益には、20.315%の税金がかかります。


キャピタルゲインのメリット・デメリット

キャピタルゲインのメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。


キャピタルゲインのメリット

キャピタルゲインのメリットは、短期間で利益が確保できる可能性がある点です。投資商品に関わらず資産価値は日々変動しているため、適切なタイミングで売却できれば短期間でも大きな利益を見込めます。株式や仮想通貨は短期間で2倍以上になる場合も散見されます。


中長期的な売買で利益を狙えるのも、キャピタルゲインのメリットです。例えば、仮想通貨ビットコイン の価格は2009年当初1円以下でしたが、2021年4月には600万円を突破しました。


株式の例では、2013年に100円前後で推移していた日本ライフライン(7575)が2018年の3月には3,780円まで一時上昇しています。売買のタイミングを誤らなければ、数年という期間で資産を10倍以上にすることも可能です。


キャピタルゲインのデメリット

短期間で急騰する投資商品は、暴落するリスクも抱えています。売買のタイミングを誤ると、わずか数年で多くの資産を失う恐れもあるので注意が必要です。


仮想通貨や株式は、わずか数日で大暴落する可能性もあります。例えば、2021年4月に600万円を突破したビットコインは、同年の5月下旬から6月上旬にかけて約300万円にまで暴落しました。


キャピタルゲインを狙う場合には、許容できる損失を事前に想定したうえで、暴落時における早めの損失確定や手仕舞いといった対策を考慮しておく必要があります。


インカムゲインのメリット・デメリット

ここからは、インカムゲインのメリットとデメリットを詳しく見ていきます。


インカムゲインのメリット

インカムゲインのメリットは、ローリスクで安定した利益を狙えるという点です。円建て定期預金のように、事実上リスクフリーでインカムゲインを得られる金融資産もあります。


インカムゲインのデメリット

インカムゲインのデメリットは、短期的に大きな利益を得にくいということでしょう。長期保有が基本となるため、保有中に含み損が発生することもあります。


インカムゲインを主とした投資を行う場合は、「今日は利益が増えた」、「先週より何%下がった」というような目先の利益に左右されるのではなく、あくまでも数年、数十年という長期スパンで資産の推移を考える必要があります。


投資初心者はキャピタルゲインとインカムどちらを目指すべき?

インカムゲインとキャピタルゲインのどちらを重視するかは、資産状況や自身の性格などによって変わります。初心者はインカムゲイン狙いが基本というイメージもありますが、不動産投資は難易度が高く初心者向けとはいえません。


インカムゲインを狙うなら、運用実績が安定している投資信託や、値動きの小さな株式の配当金狙いも無難でしょう。ただし、利回りに下限を設けたいところです。定期預金はローリスクで利息を得られますが、利率はメガバンクでも0.002%程度なので効率的に資産を増やせません。安定投資とリスク軽減を両立させるには、利回り3%〜5%程度の金融商品を狙いたいところです。


キャピタルゲインは短期間でもリターンが狙えますが、適切な売買タイミングを計るには世界情勢も含めた幅広い金融知識が必要になります。短期売買はギャンブル性も高く、想定外の乱高下も起こりやすくなるので注意しましょう。


例えば、資産の70%はインカムゲインを狙った投資を行ない、残り30%でキャピタルゲインを狙うといったバランス投資も検討したいところです。


キャピタルゲインとインカムゲインの違いを理解して効率的な資産運用を

本記事では、キャピタルゲインとインカムゲインの違い について、金融商品別に詳しく紹介してきました。


インカムゲインとキャピタルゲインは、それぞれにメリットとデメリットがあります。金融商品によっては、同時に狙うことも可能です。投資の初心者は利回り3%~5%程度の金融商品に投資してインカムゲインを狙ってみるのもいいでしょう。


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記事を書いた人 山岡 光
フリーライター/校正者。編集プロダクション勤務を経て独立。投資経験を活かした不動産・株式・仮想通貨・FX・クレジットカード分野の記事執筆経験多数。わかりやすく読みやすい記事の執筆が得意。投信からグルメ記事まで幅広く作成。
記事を書いた人 山岡 光
フリーライター/校正者。編集プロダクション勤務を経て独立。投資経験を活かした不動産・株式・仮想通貨・FX・クレジットカード分野の記事執筆経験多数。わかりやすく読みやすい記事の執筆が得意。投信からグルメ記事まで幅広く作成。
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