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株式投資とFXの違いは?それぞれの特徴を7つのポイントで徹底比較
投資を始めようと考えたときに、まず思いつくのが「株」や「FX」ではないでしょうか。大切なお金を投じて運用するにあたって、どんな投資方法なのか、それは自分に適しているのかを理解しておきましょう。
そこで今回は、株とFXの違い にはどのようなものがあるのかを詳しく解説します。両者の特徴やメリット・デメリットがわかるので、自分にはどちらが向いているのかを判断するための参考にしてください。
株式投資とは
「株式」とは、企業が事業に必要な資金を調達するために発行するもので、出資者は株式を保有することで「株主」となります。株主は出資の対価として配当金や優待、企業に対する議決権なども得られます。
「株式投資」とは、企業が発行した株式を購入し、配当金や株主優待を得たり、あるいは株式の売買による売買差益を得たりする投資方法のことです。なお、売買できるのは証券取引所に上場している企業の株式に限られます。
FX(外国為替証拠金取引)とは
FXは「Foreign Exchange(外国為替)」の略で、「外国為替証拠金取引」とも呼ばれます。実際に通貨を保有する現物取引ではなく、反対売買時に生じた差額のみを受け渡しする差金決済取引となっています。取引するのは「通貨ペア」と呼ばれる通貨の組み合わせです。例えば「USD/JPY」は「円を売って、米ドルを買う」か、逆に「米ドルを売って、円を買う」かどちらかの取引ができます。
▽FX(外国為替証拠金取引)とは何か?初心者にも分かりやすく解説
株式投資とFX(外国為替証拠金取引)の違いを比較
株式投資とFXの違いを、以下の7項目で比較してみましょう。
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1.投資対象 | 企業が発行する株式 | 各国が発行する通貨 |
2.必要な資金 | 数万円~数十万円 | 数千円~数十万円 |
3.利益の出し方 | 売買差益・配当金 | 為替差益・スワップポイント |
4.取引可能な時間 | 平日9時~11時30分、12時30分~15時 | 平日の24時間 |
5.価格変動 | 大きい | 小さい |
6.レバレッジ | 信用取引の場合は最大3.3倍 | 最大25倍 |
7.手数料 | 取引手数料など | スプレッド |
1.投資対象
投資対象は株とFXで次のような違いがあります。
株式投資は証券取引所に上場する企業およそ3,800社(※2023年3月時点)が発行する「株式」が投資対象です。
一方でFXは世界各国が発行する「通貨」が投資対象です。通貨ペアの数はFX会社により異なりますが20〜100種類ほどあります。
2.投資に必要な資金
投資に必要な資金は株とFXで次のような違いがあります。
株式投資に必要な資金
株式投資を行うには「(売買する株式の株価)×(株数)」の資金が必要です。銘柄により株価は異なり、株数は1単元100株が基本ですが、1株単位で売買できる銘柄や証券会社もあります。
例えば、株価が1,000円の株式を1単元分(100株)買った場合は、10万円の資金が必要になります。国内の株式は1株数百円~数千円程度の銘柄が多いため、投資に必要な資金は数万円~数十万円ほどです。
FXに必要な資金
FX取引に必要な資金の額は「(為替レート)×(通貨単位)」で算出します。最低通貨単位はFX会社により異なりますが、通常は1,000通貨から1万通貨です。なかには1通貨単位で取引できるFX会社もあります。 例えば、1,000通貨というのは米ドルであれば1,000米ドルということです 。1米ドルが130円の場合、13万円の資金が必要になります。
なお、FX取引はレバレッジの倍率 によって必要資金が変わります。上記の例で、レバレッジを最大の25倍まで使うと5,200円で取引が始められます。
3.利益の出し方
株式投資もFXも、キャピタルゲインとインカムゲイン の両方で利益が得られます。ただし、利益の出し方は株とFXで次のような違いがあります。
株式投資の利益の出し方
株式は、購入時の価格より高い価格で売却すればキャピタルゲインを得られます。信用取引を利用すれば「空売り」ができるので、売った価格より安く買い戻せば利益になります。
インカムゲインである配当金や株主優待を受け取るには条件があります。株式には「権利確定日」が定められており、その権利確定日に株主名簿に記載されていれば配当金や優待が得られます。株式は売買の約定から2営業日後が受け渡し日になるため、権利確定日を含めて3営業日前の大引けまでに買付け約定しなければいけません。例えば、3月31日が権利確定日の場合は、その前々日の3月29日までに株式を購入しておく必要があります。
FXの利益の利益の出し方
FXの場合は買いポジションも売りポジションもどちらも保有できるので、安く買って高く売る、あるいは高く売って安く買い戻すことでキャピタルゲインを獲得できます。
FXのインカムゲインはスワップポイントになります。スワップポイントとは通貨を発行する2国の金利差により発生するものです。金利の低い国の通貨を売り、金利が高い国の通貨を買ってロールオーバー(翌営業日まで持ち越すこと)してポジションを保有すれば発生します。
ただし金利の高い国の通貨を売って金利の低い国の通貨を買うとスワップポイントを支払うことになるので注意しましょう。また買いポジションでも売りポジションでも、どちらでもスワップポイントを支払う通貨ペアもあります。
4.取引可能な時間
取引可能な時間も株とFXの違いがかなりあります。
株式投資の取引可能な時間は平日の9時から11時30分の「前場(ぜんば)」と、12時30分から15時までの「後場(ごば)」です。土日祝日と年末年始(12月31日~1月3日)は取引できません。
FXの取引時間は土日を除く平日の月曜日午前7時から土曜日午前7時までです。ただし夏時間はそれぞれ1時間早まります。なお、FX会社によりメンテナンス時間を確保するため、若干違いが生じます。
5.価格変動
価格変動の値幅にも株とFXには違いがあります。
株式とFXの価格変動幅の違い
長期的に見れば株式は価値がゼロになることも、あるいは価格が10倍以上になることもあります。対してFXの投資対象である通貨ペアは株価のような大きな変動はほとんどありません。
1日の価格変動率は銘柄により異なりますが、株式は10%ほど動く銘柄があります。FXの通貨ペアはだいたい1日に1%程度の変動率です。
株式とFXの価格変動要因の違い
株式の価格変動要因は、企業の業績や将来性、経済や政策なども影響します。FXの為替レート変動の要因としては、経済状況や金融政策、国同士の金利差が挙げられます。
なお、株式やFXは上記のようなファンダメンタルズ要因のほかにも、チャートの値動きによるテクニカル的な要因で変動する場合もあります。
6.レバレッジ
レバレッジとは担保を入れることで、資金の何倍もの取引ができる仕組みのことです。レバレッジ10倍であれば、運用資金の10倍の取引ができます。
株式投資の場合、現物取引ではレバレッジは利用できません。信用取引を利用すれば最大で約3.3倍のレバレッジが使えます。一方でFXの場合、国内業者はすべてレバレッジは最大で25倍までに規制されていますが、海外業者はレバレッジ1,000倍を超えるところもあります。
7.手数料
株式投資にかかる手数料は、株式の売買に伴って発生する「取引手数料」です。ネット証券を利用すれば、少ない手数料で取引できます。証券会社によっては1日の約定代金により手数料を無料とする会社もあります。
FXの場合は売値と買値の差額である「スプレッド」が実質的な手数料となります。スプレッドの広さはFX会社により違います。さらに口座タイプによっては、スプレッドがほぼゼロの口座で取引手数料が発生する場合があります。
株式投資がおすすめな人の特徴
株式投資は次のような人におすすめです。
- 中長期で投資したい
- 夜間に投資活動ができない
- 企業に投資したい
中長期で投資をしたい人
短期的な値動きで利益を得るよりも、中長期での投資で利益を得たい人には株式投資がおすすめです。
短期的な取引では大きな値動きの一部しか利益を得られませんが、中長期的な取引であれば大きな値動きによる大きな利益が狙えます。特に株式はFXの通貨と違い、価格が何倍にもなる銘柄があります。
細かな取引をする手間もかからないので、投資活動に費やす時間も少なくなります。このような利点のある中長期的な投資をしたい人には株式投資をおすすめします。
夜間に投資活動ができない人
日中は仕事があるので相場のチェックはできないけれど、夜もFXでの投資活動ができない人には株式投資がおすすめです。
FXは長期保有するとスワップポイントの支払いコストや急激な相場変動などさまざまなリスクが生じます。対して株式投資は長期保有のリスクがFXよりも低いからです。
よって、日中も夜も投資活動の時間が取れない人には株式投資をおすすめします。
企業に投資したい人
応援したい企業がある人には株式投資がおすすめです。通貨ペアを取引するFXは基本的に投資活動はしません。
好きな企業があれば株式を購入して保有することで直接的に投資できますし、業績が良ければ配当も獲得します。もちろん株価も上昇するので、売却時にはキャピタルゲインを得られます。
個別の企業に投資したいという人には株式投資が向いています。
FX(外国為替証拠金取引)がおすすめな人の特徴
FXがおすすめなのは次のような人です。
- 夜間に取引をしたい
- 少ない資金で取引を始めたい
- 短期で大きな利益を狙いたい
夜間に取引をしたい人
株式投資は基本的に9時から15時に市場が開いているので、帰宅後の夜には取引できません。FXの場合は為替相場が平日24時間開いているので、自分の都合のよい時間帯に取引できます。
ただし通貨ペアのポジションを保有して当日に決済しない場合、翌日に持ち越すと大きな価格変動による損失が生じるケースがあります。また、限られた時間帯ではほとんど価格が変動しないこともある点にも注意しましょう。
少ない資金で取引を始めたい人
FXはレバレッジ25倍で取引をすれば、数千円程度の証拠金で通貨ペアを取引できます。できるだけ少額資金で取引を始めたい方にはおすすめです。ただし、レバレッジが大きければわずかな価格変動でも損失が大きくなる可能性がある点には注意しましょう。
短期で大きな利益を狙いたい人
FXは株式投資よりも大きなレバレッジで取引できます。短期取引での少ない利幅でも、レバレッジ倍率を高くすれば大きな利益につながります。もちろん損失となった場合のリスクも高くなりますが、短期取引で大きな利益を狙いたい人にはFXがおすすめです。
株とFXの違いから自分に合う投資方法を選ぼう
今回は株とFXの違い について、それぞれの特徴を7つの項目で解説しました。
ここまで説明してきたとおり、株とFXにはさまざまな違いがあることがわかります。株式投資は株式を投資対象に中長期の保有ができます。一方でFXは短期的な売買で大きな利益が狙えます。取引時間も株とFXは違うので、生活サイクルに合わせて選べます。
株とFXどちらの投資方法がよいのか迷っている方は、まずは自分の投資スタイルを考えて、株式投資とFXのどちらが向いているのかを決めることをおすすめします。